ホワイトペーパーは制作の手間が課題
ホワイトペーパーとは、BtoBマーケティングの文脈では、見込み顧客に対して自社へのエンゲージメントや関心を高めるために有益な情報を掲載・解説した資料を指します。
デジタルマーケティングやコンテンツマーケティングの取り組みに力を入れるBtoB企業ではほとんどの企業が制作している重要なコンテンツである一方、それなりのものを作るには、ある程度の手間と時間がかかってしまうという課題があります。
これにはいくつかの理由があります。
まず読者へ有益なコンテンツとするにはある程度の情報量が必要だからです。ホワイトペーパーは一般的には4ページ以上のものが多く、その分量の記事を執筆したり構成を考えたりするのは手間がかかります。
また、内容の有益度や独自性が求められるため、制作会社に制作を依頼する際は、自社内の知見がある人に取材などを行って情報をインプットしてもらうケースが多くなります。そのため、その準備や調整に工数がかかります。
PDF資料としてデザイン・レイアウトして仕上げる必要があることもハードルの1つでしょう。単に文章を執筆してCMS上にアップロードして公開するといったオウンドメディア記事やブログ記事にはない工程です。
もちろん、ホワイトペーパー制作にある程度手間をかけるのは悪いことではありません。1つひとつ時間をかけて重厚なものを仕上げるのも大事だからです。
逆に、「とりあえずリード獲得のために何か作りたい」という思いから完成を急ぎ、中身が薄い「やっつけ」の資料をダウンロードコンテンツにしてしまえば、ダウンロードしたユーザーにかえって「期待外れ」を感じさせてしまうこともあります。
しかし、デジタルマーケティングの施策を素早く実行していく中で、既存のコンテンツが不足している企業にとっては、1つ作成するのに長い時間をかけるわけにもいきません。ホワイトペーパーの中身が大事でありつつも、効率的に作成する方法を検討する必要があります。
ホワイトペーパーを効率的に作成する方法
ホワイトペーパー制作を外注している企業の場合、素早く作成するためには、「自社の負担」「外注先の負担」の2つの側面を考える必要があります。
そこでここからは、多くの会社のホワイトペーパーを制作している当社の視点も含め、実際に企業が行っている効率の良い制作方法を紹介します。
制作方法①:ウェビナー動画をベースに作成
すでにオンラインセミナー(ウェビナー)を実施している場合、その講演動画をホワイトペーパーとして記事コンテンツの体裁に仕上げることができます。30分程度の講演内容であれば、4000-5000文字、A4で4ページ程度にまとめるのがちょうどよい分量です。
コロナ禍以降、多くの企業がオンラインセミナーを実施しており、講演動画素材をたくさんもっています。そうした状況下で、「せっかく作ったウェビナー用講演動画がその後活用されずもったいない」といった課題を感じた多くの企業がこの方法でホワイトペーパーを制作しており、実際にノーバジェットでもウェビナーの記事コンテンツ化の依頼を多く頂いています。
オンラインセミナーの講演内容は、すでに起承転結ができているため、その内容は文章の形にも比較的落としやすく、改めてホワイトペーパーを制作する際にストーリーや骨子を検討し直す必要がないことがこの制作方法の最大のメリットです。
制作方法②:営業資料をベースに作成
多くの企業は、営業担当者が自社製品を商談などで顧客に紹介するための資料として、PowerPoint形式で数十枚程度にまとめた「営業資料」を持っているはずです。
例えばこの営業資料ベースに営業担当者に30分程度プレゼン形式で説明してもらうかたちで取材を行い、ホワイトペーパー化するという方法もあります。
先述のウェビナー動画と同様に営業資料は顧客への説明のためにストーリー展開が完結しているため、その資料をベースに記事化するだけでも自然なホワイトペーパーが完成します。
営業担当者も資料にそって説明することに慣れているため、「取材」という形式ではありつつも、事前の準備の負担が少ないというメリットがあります。
制作方法③:既存のブログ記事やコラムを編集して作成
自社のブログやコラム、オウンドメディアに記事を膨大に掲載している場合は、その内容をまとめてホワイトペーパー化するという方法があります。
この場合は、既存のどの記事を使うか、どのような構成にするかなどを検討する手間が生じますが、ホワイトペーパーを新たに作るために社内の誰かに取材をしたり、新たな資料を準備したりする必要ががありません。そのため、社内の他部署の手間をかけずに制作する方法として1つの選択肢となります。
ただし、誰でも見られるブログの内容をそのままホワイトペーパー化しても意味がありません。散在する情報をキュレーションしてわかりやすくまとめたり新たな情報を付加して読者に有益な資料となるよう工夫することが求められます。
制作方法④:既存の導入事例記事を編集して作成
上述のコラムをまとめたホワイトペーパーを作るという考えと同様に、導入事例記事がすでに自社に膨大にある場合は、いくつかの記事の要素を1つにまとめた資料を作成することも有効です。
事例記事を数多く作成すると、読み手の立場としてはすべてを確認するのに手間がかかってしまいます。
そこで複数の導入事例記事に関して、業界やテーマごとに集約し、それぞれのポイントを解説する資料を作成することで、同業界の企業に対して情報をわかりやすく届けることができます。
この方法も既存の資産だけでホワイトペーパー化する方法ですが、情報を集約して体系化するのに十分な事例記事の数があることが前提条件になります。
制作方法⑤:エバンジェリストに取材して作成
先に少し触れたように、ホワイトペーパー制作では外部へ制作する際に取材が必要であることが多いのですが、取材を受ける人があまり慣れていなかったり、準備の期間が必要だったりと調整が難しいことがあります。
また、いざ取材してみると、取材を受けた人が制作意図や企画とうまく合致するような内容を話せないことも起こり得ます。
こうした課題がある中で、「取材の際、話を引き出しやすくその後工程の記事化につなげやすい」という観点では、自社の中で業界や技術に関して詳しく、さらに人に説明することが得意な「エバンジェリスト」に取材することがおすすめです。
もちろん、どの会社も「エバンジェリスト」という職務を設けているわけではありませんので、必ずしもその役職の方である必要はありません。
業界や顧客の動向に詳しい営業担当者、もしくはコンサルティングまたはそれに類する業務を行っている方に取材するのもよいでしょう。
ホワイトペーパーは読者に有益な情報を与える資料ということで、自社がもつ知見やノウハウを示すことも重要です。その観点から、エバンジェリストやコンサルタントの方がもつ情報はホワイトペーパー制作のネタと相性が良いです。
制作方法⑥:既存の顧客アンケートデータを元に作成
もし自社で顧客調査やアンケート調査を行っている場合は、そのデータもホワイトペーパー化する上で非常に価値のある情報となります。具体的には、調査結果やアンケート結果をグラフで集計して示しながら、その考察を文章化していきます。
ホワイトペーパーは、せっかく作るのであれば「情報を入力してダウンロードしてまで読みたい」と思わせるものでなくてはなりません。その観点から、調査データは情報の独自性が高くコンテンツの有用な材料となります。
もちろん、アンケート調査ホワイトペーパー単体だけでなく、他のホワイトペーパーを作る際の材料にもなり得るので、何らかの調査データを持っている場合はそれを何らかの形で制作物に有効活用できないか検討してみましょう。
まとめ
以上、ホワイトペーパーを手軽に作るための方法を示してきました。
もちろん、これらの方法から作れるものには限度があります。こちらの記事でも解説しているように、ホワイトペーパーでは自社の製品に付随する話だけでなく、さまざまな切り口のコンテンツが必要です。それは必ずしも自社が持つ既存資料や情報だけでは作れないものもあります。
新しいホワイトペーパーを作るには、ゼロからストーリーを考えたり、社内に散らばるさまざまな情報をかき集めたり、苦労する部分もありますが、そうしたステップを経ることで、独自性の高いコンテンツを作ることができるはずです。
ノーバジェットでも、IT企業のお客様を中心にこれまで数多くのホワイトペーパー制作のご相談を受けてきました。原稿・デザイン制作はもちろん、ホワイトペーパーを用いたメディアのリード獲得施策・媒体選定まで一気通貫してご提案できますので、お気軽にご相談ください。