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突き詰めて考える、ホワイトペーパーの定義と本質的な意味

ホワイトペーパー

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ホワイトペーパーはBtoBマーケティングの定番コンテンツですが、その様式や内容、考え方は企業によってさまざまであり誤解も生じがちです。そこで今回はこのホワイトペーパーの本質的な意味を考えてみたいと思います。

非常に曖昧なホワイトペーパーの定義

BtoBマーケティングの取り組みの中で日頃当たり前のように作られ使われているホワイトペーパーですが、改めて、それはどのようなものでしょうか。今回このテーマについて書いてみようと思ったのには明確な理由があります。

それはホワイトペーパーが企業によってさまざまな解釈のされ方をしているためか、企業によって制作物のイメージや認識に差があり、中には誤った解釈がなされているのではと感じることもあるからです。

当社ノーバジェットはこれまで優に100社を超える企業のホワイトペーパーを制作してきました。もちろん、後ほどご説明するように「ホワイトペーパーとはこういうものだろう」という当社なりのイメージを持っています。

しかし、お客様と会話すると、「こういうのもホワイトペーパーとして扱われているのか」と、驚きを感じることもあります。

確かに検索エンジンなどで「ホワイトペーパーとは」と検索すればたくさんの記事が出てきますし、当社も「ホワイトペーパーとは」というコラム記事を書いています。そうしたものを読めばなんとなくのホワイトペーパーのイメージはつかめるでしょう。

しかし、サイトによって書かれていることはバラバラであり、しかも悲しいことに中には非常に誤解を招くような説明をしているサイトも見られます。

前置きが長くなってしまいましたが、こうした現状を踏まえ、今回はホワイトペーパーとは何かを正確に理解するための内容を書いていきたいと思います。次項から本質的な点を含め、その定義を考えていきたいと思います。

ホワイトペーパーの本質的な要素

上述の当社の記事でもすでに解説していますが、当社ではホワイトペーパーを「自社製品の導入を検討する可能性のある潜在顧客や見込み顧客のエンゲージメント強化を目的に、有益な情報を解説した資料」と表現しています。

もちろん、ホワイトペーパーに普遍的な単一の定義を与えるつもりはありませんし、これが完璧な定義をなしているわけではありませんが、ホワイトペーパーの特徴を端的に説明していると考えています。

世の中にはマーケティング用途の資料がたくさんあります。製品紹介チラシもそうですし、PowerPointで作っている資料もあるかもしれません。それらはホワイトペーパーとどのように違うのでしょうか。逆に、そうした資料がホワイトペーパーと呼べる代物になるにはどのような要素を持てばよいのでしょうか。

「条件」というほど厳密なものはありませんが、当社としては以下の4つのエッセンスを、全てでなくともある程度含んでいる資料であれば、ホワイトペーパーと銘打って違和感がないだろうと考えています。

(1)TOFやMOF層向けの内容をカバーしている

ホワイトペーパーは、マーケティングでしばしば用いられるフレームワークである「ファネル」に照らし合わせたとき、ファネルの上段(Top of Funnel:TOF)や中段(Middle of Funnel:MOF)に向けた内容を中心に据えることが一般的です。

ファネルのこれらに属する層は、まだ具体的に製品導入を具体的に検討するための情報収集を行っていない層だとみなされます。逆にファネルの下段(Bottom of Funnel:BOF)は製品を検討するために具体的に製品スペックや機能を比較検討したりトライアルしたりしている層です。

ホワイトペーパーに記載する情報としては、製品がどのような機能を提供しているのか、他社製品に対してどのような優位性があるのかといった情報は重視されません。ある製品が必要とされる業界背景や動向、課題解決手法、ノウハウなどを情報として提供することが必要です。

(2)読者目線で有益な内容を含んでいる

ホワイトペーパーは自社に対する関心やエンゲージメントを高めるために、読者にとって有益な情報を含むべきです。自社の商材ジャンルの購入を検討する方にはどのような情報を知ってくべきか、どのような情報を欲しがっているかという視点が必要です。

上記(1)で示したように、TOFやMOFに向けたコンテンツであれば「自社製品アピール」といった側面は少ないため、必然的に読者へ有益なコンテンツになりやすいでしょう。

日本企業で制作されるホワイトペーパーは、資料内の結論として自社製品・ソリューションへ落とし込む構成が比較的多く、「提供者目線」の内容になりやすいのですが、その中でも「読者目線」というのを意識することが重要です。

例えばホワイトペーパーの中で自社製品に関する機能紹介などを書く場合でも、単に「○○の機能がある」という事実や特徴を説明してしまえばそれは製品カタログと何ら変わりません。

機能紹介を書く場合でも、それが読み手である顧客企業にどのような価値をもたらすのか、その機能を使うと自社はどのようなことが得られるか、というように読み手を主語にすることが重要です。

(3)テキスト主体の体裁をとっている

マーケティング用途に使われるコンテンツには、パワポ資料やチラシのように短文やキーワードで要点のみをまとめたり見出しを多用しながら短い文をまとめたりした資料があります。

チラシやパワポ資料は、商談やイベントの現場などで手に取ってもらいながら説明するのに使用するのに適しており、口頭で補足説明することを前提にしたものも多くあります。

それに対して、ホワイトペーパーは「記事」の体裁を取ることが一般的です。これは体裁として記事であることが大事なのではなく、その本質として、「誰かが補足説明をしなくても、その資料1つである程度の内容を理解することができる」ということが重要です。それを満たすために記事に体裁が有効であるのです。

ではホワイトペーパーではどの程度文章での説明が必要でしょうか。それについては、目安はありませんが、文章を読んで明らかな疑問を残さない程度には、しっかりとした解説をすることが必要であり、そのためには一定の文章量が必要になります。

(4)一定のページボリュームがある

(3)の説明とも関連しますが、ホワイトペーパーはキーワードや要点を理解してもらうのでなく、内容を深く理解してもらう目的もあります。そのためには、一定のページ数を割いて作られることが一般的です。

もちろん「2ページではホワイトペーパーとは言えない」というわけではなく、それが良いかどうかは別としてそのような資料も多く存在します。ただし、企業が制作しているホワイトペーパーの例を見る限り、一般的には4ページ以上のボリュームを割くことが一般的であり、長いものは10ページ以上にも及びます。

繰り返しになりますが、ページ数が多いか少ないかは重要ではありません。深い理解を促すための結果としてページ数が多くなる傾向にあるということです。逆にテーマや目的、読者に持ち帰ってもらいたい情報、理解してもらい情報などを短いページ数でまとめることができればそれに越したことはありません。

ホワイトペーパーの誤解

逆に、ホワイトペーパーの定義に関して他のWebサイトでは誤解を招く記載も多いので、それらについて触れていきます。

リード獲得のためのダウンロード資料

「リード獲得のためのダウンロード資料」という説明をしているWebサイト記載を見かけましたが非常に一面的です。なぜならホワイトペーパーはリード獲得だけでなく、すでに獲得しているリードの育成にも使われるからです。

リード獲得のコンテンツにホワイトペーパーが有効なのは紛れもない事実ですが、「リード獲得のための」というのはホワイトペーパーの本質的な定義とは関係ありません。

この表現をするべきでない理由は、ホワイトペーパーをこれから活用している企業に誤解を与える恐れがあるからです。「リード獲得のための資料がホワイトペーパー」という考え方は非常にホワイトペーパーを提供する企業目線です。

これを定義として捉えてしまうと、顧客目線で有益な情報を載せるというホワイトペーパー本来の性質に気づかぬまま、「とりあえず製品情報をまとめたものをホワイトペーパーにしてみるか」といった発想でホワイトペーパーを作ってしまう事態が起こらないとは限りません。

課題解決に関するサービスやソリューションが記載された文章

「課題解決方法と、それを実現する製品・サービス・ソリューションの紹介」はホワイトペーパーによく採用される「王道中の王道」ともいえる書き方ですが、これも定義として与えてあげるには誤解のある書き方です。

ホワイトペーパーをこのような視点だけでとらえてしまうと、ホワイトペーパーのバリエーションが少なく、さらにTOFに向けたコンテンツとしても有益性が低くなってしまいます。

もちろん、どのようなターゲットに向けて作るかによりますが、少なくとも「課題解決に関する内容」「自社のサービス、ソリューションの内容」という2つの情報のうち、前者が主で後者が従となる書き方をする必要があります。

自社がもつノウハウや事例などをまとめた資料

このように説明しているWebサイトを見かけましたが、こちらも非常に一面的な表現の仕方です。

確かにホワイトペーパーでは見込み顧客の関心を引き付けるために有益な情報を掲載し、そこには自社が持つノウハウや事例が非常に強力なテーマであることは間違いありません。

しかし、ホワイトペーパーで扱うテーマや内容はそれだけではありません。本質的なことは、そこにノウハウを書くことでも事例をまとめることではなく、見込み顧客にとって有益な情報を書くということです。

そのためには、顧客が知らない調査データや、業界トレンド、技術動向などをまとめることが有効である場合もあるのです。

ホワイトペーパーは読者のためのものという意識を

このようにホワイトペーパーとは何かというテーマを深く見てきました。上記の「ホワイトペーパーの誤解」で触れた指摘の仕方は「揚げ足取り」をしているように思うかもしれません。

しかし、本質を見失ったホワイトペーパーでは、それを作る企業側のマーケティングの成果も上がりませんし、個人情報を入力してわざわざ資料をダウンロードした人も「ダウンロードして読むまでのものではなかった」と期待外れ感を抱いてしまう可能性もあり、皆が不幸になってしまいます。

だからこそ、ホワイトペーパーの本質を知る必要があり、表面的な説明をするべきではないと思っています。

ホワイトペーパー制作やWebメディアの資料ダウンロードサービス関連のお仕事に携わる当社からみても、「リード獲得としてその資料を使うのは難しいのでは」と感じたことも決して少なくありません。

ホワイトペーパー制作はもちろん自社のために行うことですが、作ったものは「読者が読むためのもの」「読者にとって有益なもの」という視点を忘れず、ぜひ価値あるコンテンツとは何かを模索していただければと思います。

当社でも高品質なホワイトペーパー制作の支援を行っているので、ぜひお気軽にご相談ください。

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